読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Web屋パパの日々の泡

子育て、ウェブ、サッカー、キャンプ、とりあえず身の回りのいろんなことを自分のログとして書き記していくブログです。

風が強く吹いている/ 三浦しをん

「友達に勧められた本を順番に読んでいく」という奥様が結構気に入って勧めてくれたのでよんでみた。その読み方、好みは別としていい本に会えるのでなかなか良いね。知らない人だったけど、他の本も見てると有名な奴多いのね。知らない人まだまだたくさんいる。

風が強く吹いている

風が強く吹いている

長距離のない大学の陸上部が、寄せ集めの初心者で箱根駅伝を目指すという、ストーリーとしてはありがちな展開の話。漫画だと「H2」とかね。竹清荘というボロアパートにたまたま住んでる10人の学生がリーダーに乗せられて駅伝を始める。無理あるなあ。でも個々の描写がリアルで、Amazonのコメントで箱根駅伝に出たことがあるという人も、選手の心情をリアルに描いてると言っている。いろんな人がいるな。

ボロアパートは学生時代に友達が住んでた四畳半12,000円のアパートを思い出すし、登場人物も極端にデフォルメされてないけど友達の顔が浮かんだり他の映画や漫画のキャラがパッと当てはまったり。王者六道大の藤岡というエースは、「ピンポン」のドラゴンそのものだしなぁ。簡単に引き込まれて、多少無理な設定も気にならず次々ページをめくって1日半で一気に読了。楽しかった。


ページを読み進めるにつれ、予選会、本戦、各区間と、駅伝の流れ的に終わりとクライマックスが明確にわかるのでドキドキしながら左手に残るページの分量を感じる。電子書籍では感じられない読書体験ね。

清瀬の大学生らしくないコーチングと冷静さ、1年生エース走の凡人が理解できない走ることの喜び、周りのやっかみや駅伝に取り込まれていく熱量。そういうのが偏りすぎず丁寧に、且つ引き込んでいく強さを備えて描かれていて飽きない。ああ、面白いなあ。

読書はつくづく孤独な趣味だなあと思う。一緒にその瞬間を分かち合うわけでもなく、後で話し合ってもページを繰りながらどこそこが良かったよねと具体的に話すこともそんなにあるわけでもなく、理解や解釈がことごとく人によって違う。だから面白いんだろうな。描いてあるストーリーそのものを楽しむこともあれば、自分と重ね合わせて置き換えて理解したり。下手なビジネス書より、よっぽどいい小説の方が学ぶことがあるきがするね。


最後ゴールした時のタイム差が絶妙やなと思うわけです。誰かが頑張ったからその結果があるというのではなく、全員が少しずつ頑張って足を運んだその一歩が繋がって勝利があるんやなと。個人競技と団体競技の中間とはよく言ったもので、僕がやってた剣道の団体戦もそんなようなもんだもんね。

文章自体の熱量はそこまででもないのに人物の熱量が多いのも面白いね。サラッと読むにはちょうどいい興奮。「舟を編む」「光」あたりまた読んでみよう。面白そうだ。


去年末にほぼ初めてまともに小説を読んだ奥さんが、今年は年間20冊を目標に本を読んでいってる。それに引っ張られて僕も読書量が増えた。人生で出会える本は有限だ。それを身近な人と共有して話し合えるのはやはりなかなか楽しいものです。