Web屋パパの日々の泡

子育て、ウェブ、サッカー、キャンプ、とりあえず身の回りのいろんなことを自分のログとして書き記していくブログです。

天冥の標/ 小川一水 全17冊読了

去年の12月から読み始めた「天冥の標」をようやく読み終えた。最後まで畳み掛けるような展開でずっと面白かった。正確な金額覚えてないけど、500円 × 17冊で8,500円になるので、映画4本、サッカー4試合程度の金額で3ヶ月半みっちり楽しめたのでなかなかの充実度だった。

いつも聞いてるポッドキャストで進められてたSFのシリーズがいくつかあって、その中でなぜかこの10作17冊という本を手に取って読み出した。他のはそこそこ高かったから図書館で頼んでたけど、Amazonで頼んでたこっちが先に来たからとかそんな理由だったと思う。

唐突に未来のどこか遠い国の話として始まった1巻から、物語を遡るようにストーリーを紐解く2巻以降。全くわからなかった唐突な物語が少しずつ紐解かれて結実して入り組んでいく。

設定が異なる世界とか少し未来の話とかってこともなく、日常の延長が壮大な宇宙の話につながっていて「ああ、こういうの読んでみたかったんやなあ」と思いながらページをめくってた。
「ジェノサイド」にも似てるし「星を継ぐもの」にも似てる。ただ、これはこれで唯一無二のはなしで、10年かけて綴られた物語をまとめて読めるのは少しずつ追ってた感動とはまた違うんだろうな。


物語自体はプロローグやエピローグに含まれる話を除くと800年かけて進んでいって、ただそれを書いてる時代背景も10年で大きく変わっていたりする。僕が読んでた3ヶ月半の期間にも、コロナウィルスが沸き起こって世界の様相は一変した。物語の軸となっている「冥王斑ウイルス」という致死率95%の感染症に対する対応や人の意識はまさに今世界で起こっているそれとオーバーラップするし、「治癒した後もウイルスは身体に残る」という設定で隔離されていく人たちとそれに対応する世界や宇宙の有り様はやはりここ1月くらいのテレビで流れるニュースそのもの。

学びや気づきも多いけれど、戦闘シーンや性描写、太陽系の生物の多様性やもっと上位の概念的な存在のありかたなどまあとにかく話が入り組んでいる。


3ヶ月間めちゃくちゃ楽しかったなあという思いと、終わってしまった寂しさが同居するけど、違う世界観を入れるのがしんどそうで手をつけてなかった他の本にようやく手を出せそう。


今年2月には、完結したことを受けてSF大賞も受賞してた。ただまあ「面白いから是非読んで」というには相当の気合で読み進めないといけない物量なので、せめて「II 救世群」だけでも今このタイミングで読んで欲しいところ。


いやー、ここ数年どっぷりSF小説読むようになったなあ。