AX/ 伊坂幸太郎
少し前に出たやつ、なんとなく見かけて移動の長い仕事の日に電車で読もうと思って購入。「グラスホッパー」「マリアビートル」の続編とくれば当然期待も高まる。「斧」のアックスは「蟷螂の斧」から来てて、昆虫タイトルシリーズは今回も続く。
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2017/08/10
- メディア: Kindle版
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舞台は東京、登場する殺し屋も「兜」だけで、マリアビートルみたいに様々な視点が行き違いながら物語が交錯していくようなものではないけど、ほぼ一人称で進んでいく物語はそれはそれで心地よい。途中からそれが枝分かれしたり時系列が変わったりするところから一気に面白くなるんだけど。
簡単に人が死んで、飄々とした兜は凄腕の殺し屋で、人は思いの外簡単に死んでいく、みたいなのは今までと同じ。あら、また殺したの?ってなる。今回は家族の話が真ん中にあって、今までも家族とか義理人情とかはあったけど、殺し屋の家族って「お前の家族に何が起こるかわかるよな」みたいな展開しか思い浮かばない(そしてちゃんとそうなる)けど、夫婦のやりとりや高校生の息子とのやりとり、そんないろいろなことが細かい描写の連続でどんどん捕まえられて読み進めてしまう。
当然そこらへんに伏線が張ってあってドキドキしながら行方を見守るのだけど案の定最後にどどんと回収されていくいつもの伊坂節。なんだろうなあこの楽しさは。
直前に読んだ「陰日向に咲く」との対比が強すぎてなおさら強く印象に残る。最近あんまり本読まなくなってたけどまた気に入ったやつがあればあれこれ読んでいこうと思う。読書の秋だからかどうかは知らない。