Web屋パパの日々の泡

子育て、ウェブ、サッカー、キャンプ、とりあえず身の回りのいろんなことを自分のログとして書き記していくブログです。

君たちはどう生きるか

恐ろしくブログを書いてなかった。いくつか備忘録やメモとして記事書くよ。

ジブリの新作「君たちはどう生きるか」を見てきたので感想を。以下ネタバレありなので注意を

事前の告知が何もなく、何の話か全くわからないままとりあえず見てみるかという新しい映画体験。そう思うとトレーラーだの人の噂だの色々気にしたりして映画行ってるんだなあと思う。

時間ギリギリで入って部屋の階段を登っていくと年齢層は高め。ほぼ満員。「どう生きるか」っていわれても若い人にはピンとこないだろうかなーと思ったり。内容としては面白かったけど。もちろん見に行った人の間で情報が伝播すれば必ずしもそうなるってこともないと思うけどとっかかりは難しいのかもねえ


内容について、難解であるとか分からなかったという意見をちらほら見かけたけどそれは結構意外だったな。ジブリの作品って、現実的な世界で起こる非現実の幻想的空想上の世界観みたいなもの(ポニョ、千と千尋もののけ、トトロ)と異世界の(または地域や年代の軸が今と大きく違う世界のその世界の中ではリアルな冒険活劇(ナウシカラピュタ紅の豚、宅急便)という認識なので、結構ジブリの全部入り的な映画だなあという印象だった。


冒頭の火事→風立ちぬ
田舎へ引っ越し→トトロ
塔の中の世界へ→ハウル
鳥や海の世界→ラピュタ的、千と千尋的なかんじ
みたいな、「なんかとてもジブリ的な世界」がずっと展開してる感じはとても強かったし、キャラクターもとてもジブリ的。藤子不二雄の漫画を読んでる時に「ジャイアン的なキャラ」「ほぼのび太」みたいな役割がどこかにいるのと似ていて安心感が強かったなあというのが率直な印象。新しいのに安心感がある



異世界が独自のルールで動いててそれの説明があまりない」というのもラピュタナウシカの頃からずっとそうだし、その独自の世界観がキッチリしてるからこそ「異世界に入り込んだ」と思うところがしっかりしてるなあと思う。
最近よく見かける転生ものの漫画のつまらないのは「俺はどうやら異世界に来たらしい」みたいな設定の解説がこれみよがしで、RPG的世界で「自分のステータスを見られる」とかいうふざけた描写が多くてそりゃわかりやすいけど没入感は全くないよなーと思う。

ガンダムなんか最たるもんで「キッチリ描写してるけど説明がない」みたいなのが解釈に幅ができて楽しみ方を委ねられる良さもある。良い。

結局作者の作った世界を提示されつつ、深いところまで理解できなくても物語やファンタジーとして成立してるってのがとても快適だなと思う。奇しくも映画見に行く直前に発売された「映像研には手を出すな」の8巻がそういう内容に言及してて面白かった。映像研はおじさんの中のクリエイティブにガンガン踏み込んでくるので本当に困る。


最後のところで眞人は世界の神になる選択を迫られるのだが、10歳前後の若者には厳しい話だよなーと思うのも今の自分には響く。安寧の日々よりも混乱や誤解と共に生きていくというチョイスはもののけの世界にも通ずるなーと思うところがあるし、ジブリのメッセージ的に「ハッピーエンドではないけど、みんなそれぞれ頑張って生きていこう」みたいなのもとてもよくわかる。

前編通じて「とてもジブリ的」と思うところが多くて宮﨑監督(名前の表記が変わったらしいぜ)の集大成的な詰め込み方ってのも強く感じた。41年生まれ、うちの父より年上だと思うとそういうところもあるよなあという事実がなかなか厳しい。初めて劇場で見たのが小学生の時の魔女の宅急便で、それから30年ずっと色々見てきたわけだもんな



そして、考察とか感想ではあまり見かけてないけど話のベースがすごく「青い鳥」の原作に似ているなあと思った。似てるというのか、構造的なというのか。

チルチルとミチルの兄弟が幸せの青い鳥を探して不思議の国を旅するお話。アオサギというのも何か象徴的で、兄弟が(ここでは眞人とキリコ)が青い鳥を探しながら異世界を旅して、出会いや裏切り、生まれ変わっていく子供達の魂(わらわら)と出会い、母の愛に触れて(ここのセリフはジブリ史上1番好きかも)元の世界に戻ると「青い鳥(幸せ)は身近にいたのだ」ということに気がつくという寓話。

この世で最も尊いのは母の愛なのだよ、という青い鳥のセリフがとても好きなのだけど(青い鳥はそもそも戯曲)、それと同じようにヒミが最後に眞人にかける言葉がとても良い。コレを今の年代で楽しめるのは本当に良かったなと思うし、それと同じように一つの作品もタイミングによって自分の好きなように解釈してるんだろうなと思う


テレビでラピュタナウシカを見て冒険に憧れ、少し自我が確立し出す頃に魔女の宅急便でヨーロッパに憧れ、大学生でもののけをみて日本人とはみたいなことを考えたりして子供が大きくなってきてから「君たちは」と出会える。良いタイミングでジブリ作品楽しめててなによりである


ということでもう一度くらい見に行きたいな。良い映画だった