さくら/ 西加奈子
今年2冊目。妹が読んで奥様にオススメと置いて帰ったやつがあったので手に取ってみた。なんでも「うちの家によくにてるから」ということらしい。ふむふむ。
- 作者: 西加奈子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/12/04
- メディア: 文庫
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ある家族の小さい頃から20年間くらいの物語を淡々と描いて話は進んでいく。周りがざわつくくらいかっこよくて人気者の長男、ハスに構えて頭がいい次男、美人でエキセントリックな末っ子妹。太っててよく喋る明るい母親と痩せてて無口だけどしっかりした父親。そしてムードメーカーの犬。
なんか、むず痒いな、、、、そのままってことではないけれど、兄弟構成が同じで、なんとなくその感じも似てるのね。次男の僕としては次男が語り部担って進んでいく物語は心地よいのだけれど。でもまあ全体的にむず痒い。
物語はかなり淡々とすすむ。最後に大きな事件があることは早めに暗示されているけど、そこまでは本当に日常の些末な物語が描かれててその辺は好き嫌いあるかなと思う。ヒーローもクライマックスもない、ありきたりな成長の物語。村上春樹なら少しファンタジックな軸のずれ方をするし、伊坂幸太郎ならサスペンスよりのずれ方、星新一なら隣に宇宙人が越してくるはずなんだけどそういうのは全く起きない。歳をとって、性に目覚め、喧嘩して、でも家族は居心地が良いという、何てことないありふれた家族の話。
兄ちゃんが死んでしまうことは背表紙にも書かれていて、それがどんな展開になるのかとドキドキしてたらいきなり死んでしまうのではなくて事故にあって半身不随になり、そして生きていくことに耐えられなくなって自殺するというなかなかどんよりとした救いのない展開。なかなかキツい。こんなに救いがないものかと。
ひとつひとつのエピソードや、犬に救いを求めてしまう事や、家族のキャラクターなんかは面白い。性描写も嫌いじゃない。メッセージや読後感も悪くない。でもどうも振り返った時にしっくりこない。普通すぎて、個々のエピソードのやまのなさがリアル過ぎるのかな。誰かの日記やブログみたいなものを小説として読んでいるような。エンターテインメントとしては、非日常的な、普段起こりえないような痛快な、そういうのが欲しいんだろうなと思うんですよ。
西加奈子ねえ。初めて読んだけど同い年なのね。また機会があればなんか読んでみようか。