ハイキュー!! 21巻
長かった頂上決戦が終わった。いやー、すごかったなあ。安易だけど感動したよ。途中何度もぶるぶるした。読みながら、泣きそうな顔して「おぉ〜!」とかいいながらヒクヒクと笑ってるので、奥様と子供に何事かと何度か心配された。
しばらくして奥様が読んでるのを横で見てると、同じところで同じような反応してた。ほらね、そうなるやんか。監督の所ね。思い出しただけでぐっと来る。
- 作者: 古舘春一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/05/02
- メディア: コミック
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毎回書いてるけどこの漫画のすばらしいところは、きっちりと部活を描いてて、もちろんジャンプなので超絶プレイみたいのもあるんだけど、でもまあなんていうんだろう、「ちゃんとしてる」んだよなあ。ほんとに。
毎度自分の読書メモなのでネタバレ気にせず行きますよ。
ツッキーが怪我から戻って来る、そこまで試合が持ってるというのはやっぱり漫画のドラマチックなところだなあと思う。でも、それをねじ伏せるくらいに納得させるだけのストーリーとキャラクターの絡みがあって、烏野の影山と白鳥沢の天童の心理戦みたいのが主軸だと思うんだけど、最初の方に張った伏線を何度も引っ張りだしてそこの攻防に気を取られる。そうだ、ツッキーいないんだったとふと思うくらいに試合に集中してる。いやぁ。
そしてヒーローの様に戻ってきたツッキーも、日向と一緒にウシワカにねじ伏せられる。あそこの絵がブルっときたなあ。精神的にがつんとやられたシーンを、悔しさとかダメージとか、「雑草育ち」と言われて向きになって全国トップクラスのエースが1年生に翻弄され続けて、「ドヤッ」と首根っこ掴んでねじ伏せちゃうんだよなあ。いやあ、あれいいシーン。やった方も、やられた方も、何冊か分のフラストレーションや負けん気の強さや、覚醒したツッキーの成長とかがページ見開きにドーン!と凝縮されてる。
スラムダンクの、山王戦の最後に桜木と流川がハイタッチしたような、そんな身震い。そしてページをめくると(iBooksで買ったからフリックなんだけど)そこで終わらせまいと押し付けるウシワカの手を持ち上げて、ボールを繋げる先輩たち。かっこええ、、、、
なんていうんだろうね、実際の試合のシーンのクライマックスに、そういう比喩的な表現で力関係をがっつりと描いちゃう感じ。単純なスポーツの試合のシーンだけじゃない表現が最後にふわっと出てきて一気に盛り上がる。うーむ。
いやー、それにしてもツッキーがかっこいいわ。
影山日向のバカ2人を完全にバカにしてたのに、自分の中のいろいろやモヤモヤをこの最後のクライマックスにあわせて完全に消化してバレー馬鹿になってしまってる。ギャップだなあ。ギャップの使い方がウマいんだろうな。
背が小さいのに高く飛んで早い日向、試合では冷静なのにバカで単純な影山、クールで他人を小馬鹿にしてるのに自分が設定したラインにはトコトン厳しくなるツッキー。いやあ、ツッキーこそが実は主役だったんじゃなかろうか。
でもやっぱり、3年生の屋台骨感もさることながら、個人的には「ザコキャラ」達の葛藤とか平凡さこそがこの漫画のキモだなとやっぱり思う。
最後のセットに入っていきなり登場した2年の成田さんなんて、役割やポジションもあると思うけど1年ザコキャラの山口にすら出番を奪われて出れない2年。これ、運動部的にはだいぶあかん感じよね。スラムダンクの桑田とかあの辺の感じ。ベンチにいるモブキャラ感満点だったのにいきなり最後に出て来るなんてどうかしてるぜ。
一方山口は弱いメンタルもどこかに行っていつの間にか頼れるピンチサーバーになってるし、縁下は名前負けせずきっちり縁の下だもんなあ。その「逃げた気持ち」を抱えてプレイしてる人なんて全国の部活に腐るほどいるだろうし、クラブにいる「なんでお前こんなところにおんねん」っていうウマい人とかに引っ張られたり支え合ったりしながらやってるのとか、そういうのやっぱりリアルでゾクゾクするんだよねえ。
そして監督ね。悩みながら、試行錯誤しながら、手に負えないバカをまとめて、素人が監督しながら少しずつチームを作っていってる。そうだよ、この人「元バレー部」の「有名監督の孫」ってだけでただの素人なんだもんなあ。少しずつ成長していく監督。そしてその一声が選手を奮い立たせる。あー、面白いなあ。また最初の方から読み返しちゃう。
ということで、とても面白かった。
あ、あとあれね、青葉城西とは因縁みたいになってるから各キャラの関係とか特長が分かった上でみてて理解が早いんだけど、王者白鳥沢はそこまで登場人物のことわからないまま始まって、ウシワカが上手い以外はどうなのよって思ってみてたけど、それを決勝で5セットかけてじっくり見せるからその関係性というか試合のチーム同士や選手同士の駆け引きが面白くなってたんだろうなあと改めて考えて思ったりしたのでした。
ようやく全国。そうよ、よその高校生スポーツものはけっこうあっさり全国行き過ぎよ。この、負けたところから這い上がる感じはドラゴンボールやね。いやあ、おっさんウハウハでした。